目次
QBハウス店内の清掃システム「エアウォッシャー」の仕組み
エアウォッシャーの構造と設置場所
QBハウスではシャンプーの代わりに「エアウォッシャー」と呼ばれる吸引式の清掃機器を使用しています。
各カット席に一台ずつ備え付けられたシステムユニットにこの装置が組み込まれており、カット後にノズル状のホースを引き出して使用します。
ホースはガソリンスタンドの給油ホースをヒントに天井から吊り下げる形で配置されており、使用時に頭上から手元まで引き降ろせる構造になっています。
座席前方の鏡台ユニットにノズルが固定されており、カット終了時にはこれをお客の頭部や襟元に当てて細かな毛を強力に吸引します。
髪の毛の吸引・処理方法
エアウォッシャーはその強い吸引力で、頭や顔、首まわりに付着した切れ毛を短時間で吸い取ることができます。
実際に「頭を掃除機で吸われる」独特の体験はQBハウスの名物ともなっており、大きなモーター音とともにノズル先端のブラシが頭皮をなぞって毛くずを除去します。
加えて、カット中に床に落ちた毛髪についても、スタッフが手早くホウキでカット席足元の床に集め、ユニット下部にある吸引口に向けて吸い込ませる仕組みです。
この吸引掃除はわずか数十秒で完了し、散髪後の清掃時間を大幅に短縮しています。
吸い取られた毛髪はホースを通って内部の集毛容器に回収され、後でまとめて廃棄処理されます。
創業当初は椅子の下に毛を受ける箱を設置して手作業で集めていましたが、現在はエアウォッシャーによる自動吸引方式に進化しており、効率化と衛生面の両立を実現しています。
清潔な環境への顧客ニーズと美容室の衛生トレンド
衛生意識の高まりと潜在ニーズ
近年、消費者の清潔・衛生への意識はますます高まっています。
特に新型コロナウイルス流行以降は約半数の人が衛生意識が高まったと感じており、全体の3/4もの人が強い清潔志向を持つとの調査結果もあります。
理美容業界自体、「公衆衛生のプロフェッショナル」として衛生管理を徹底する姿勢が改めて重視されており、従来以上に店舗環境の清潔さや感染症対策への期待が高まっています。
髪を切る行為自体がお客様の身体に触れるサービスであるため、顧客は表立って要望しなくとも、内心では清潔で衛生的な環境で施術を受けたいという潜在ニーズを持っています。
床に散乱した切れ毛が放置されていたり、器具が不衛生に見えたりすると、不快感や不安を覚える顧客も少なくありません。
そのため美容室・理容室では、店舗や器具類を清潔に保ち、「見た目の清潔感」と「実際の衛生管理」の両面で高水準を維持することがトレンドになっています。
美容室に求められる清掃品質のトレンド
現代の顧客は、美容室にスピードや価格だけでなく衛生面での安心感も求めています。
例えば使い捨てのタオルやクロスの使用、器具のUV殺菌、手指消毒の徹底などは業界全体で標準化しつつあります。
QBハウスのようなカット専門チェーンでも例外ではなく、清掃機器を含めた衛生対策に細心の注意を払っています。
QBハウスではアルコール自動手指消毒器や紫外線滅菌器の設置、エアウォッシャーノズルを超音波洗浄器で定期洗浄するなど衛生管理を万全に期しており、使用後のクシはお客にプレゼントして使い回さない徹底ぶりです。
さらに抗菌防臭素材のユニフォームをスタッフが着用するなど細部まで清潔さへの配慮が行き届いています。
これはまさに顧客の衛生ニーズに応える取り組みであり、「髪を切る場所=清潔な空間」であることが選ばれる条件の一つとなっていることを示しています。
また、「短時間で終わる=後の予定に響かない清潔な仕上がり」という期待もあり、髪を洗わないサービス形態であっても髪の毛を残さず快適に帰れることが強く求められています。
インターネット上のQBハウス衛生評価(口コミ要約)
ポジティブな評価:清掃の徹底と快適さ
QBハウスを利用した多くの人が、その清掃の迅速さと仕上がりの清潔さに感心しています。
口コミでは「カット後の仕上げにバキューム(掃除機)で髪を吸ってくれるので、店を出ておしぼりで拭くだけでほとんど切った髪が残らない」といった声があり、エアウォッシャーによる毛くず除去の効果を高く評価する意見が目立ちます。
実際、「天井から巨大な掃除機みたいなのが降りてきて切った髪の毛を吸ってくれた時は感動した」という初利用者の驚きの声もあるほどで、短時間で身だしなみを整えたい忙しいビジネスパーソンにとっても髪まみれにならずにすぐ職場に戻れる利便性が支持されています。
また、「クシは使い捨てなので清潔です。
素早くカットしてくれます」といったコメントから、器具管理の清潔さや衛生面への安心感を挙げる利用者もいます。
総じてポジティブな口コミでは、店内やスタッフ・施術全般が清潔であること、無駄なものがなく合理的である点が高評価につながっています。
「短時間なのに思ったより丁寧で満足」「安いのに清潔感もきちんとしている」など、価格以上の衛生品質に満足する声が多く見受けられます。
ネガティブな評価:毛の取り残しや衛生面の不満
一方で、一部の利用者からは清掃・衛生面に関する不満の声も寄せられています。
代表的なものは「掃除機で吸ってくれるけどやっぱり結構髪が残ります。
夏場は少し気持ち悪いかも」という意見で、特に汗ばむ季節には細かな毛が肌に貼り付いて不快に感じるケースがあるようです。
また、「最後にケープを外した後に追加で切られたが、掃除機みたいなので全く吸い取ってもらえず、襟の中が毛だらけになった。
帰り道チクチクして服の中も毛だらけになった」といった切実な不満も見られます。
これらはスタイリストの対応による差もあると思われますが、エアウォッシャーの使い方が不十分だと毛の取り残しが発生しうることを示しています。
さらに衛生面では、「前の客の髪の毛が(器具に)入っていた」と指摘する口コミもあり、スタッフが謝罪もなく対応したため不快だったとの報告もあります。
また、エアウォッシャーのノズル先端に付いたブラシについて「自分の前に使った人の頭に当てていたブラシでそのまま吸われるのは抵抗がある」という声もあります。
実際には紫外線殺菌や器具の洗浄が行われているものの、他人と共有するブラシへの心理的抵抗を感じる繊細な利用者もいるようです。
総合すると、QBハウスの衛生状態に対する評価は概ね良好ながら、「スタッフや店舗によって清掃の徹底度にばらつきがある」「機械の使い回し部分に不安を覚える」といった改善余地も口コミから浮かび上がっています。
他の主要カットチェーン店の掃除方式とQBハウスとの比較
カットファクトリーなど他社の清掃方法
QBハウス以外のカット専門チェーンでも、シャンプー省略による時短サービスを提供している店では類似の清掃方式が採用されています。
例えば「カットファクトリー」は1,000〜1,300円程度でカットを行うチェーンですが、ここでもシャンプーが無いため散髪時に出る細かな髪は吸引機械で綺麗に掃除してもらえると報告されています。
実際に利用した人のルポによれば、カット後にQBハウス同様ノズル型の吸引機で頭や身体についた毛を吸い取ってくれるため、仕上がりは快適だったとのことです。
カットファクトリーの場合、店舗や設備の規模はQBハウスに比べ小さい傾向がありますが、基本的な「掃除機で毛を吸う」という方式は共通しています。
したがって、同業他社も顧客の「髪を洗わなくても毛を残したくない」というニーズに応えるべく、吸引式クリーナーの活用を進めている点でQBハウスと共通の方向性を持っています。
理容プラージュなど従来型店舗との違い
一方、低価格で人気の「理容プラージュ」のような従来型の大型理容チェーンでは、通常の美容室・理容室と同様にシャンプー設備を備えているケースが多く見られます。
プラージュではフルサービスのコースでも比較的安価に設定されていますが、時間短縮のためシャンプー無しのカットだけを選ぶことも可能です。
しかしその場合の切った髪の処理は、QBハウスのような専用吸引機ではなく、ドライヤーの風とブラシで簡単に払い落とす程度であるとの報告があります。
実際にプラージュを利用した人のブログでも「シャンプーしない場合、カット後の髪は普通のドライヤーとブラシで軽く払うだけだった」と言及されており、細かな毛が残ることもあるようです。
この違いから、従来型の理美容店では洗髪サービスを前提としているために吸引装置を導入していないケースが多く、シャンプー省略時の清掃品質は店舗や担当者によってばらつきがあります。
結果として、QBハウスのエアウォッシャー方式は、シャンプー無しでも毛くずをしっかり除去できる点で従来店との差別化要因になっています。
QBハウス方式の独自性と優位性
以上を踏まえると、QBハウスの清掃方式の独自性と先進性が浮き彫りになります。
他チェーンの中にはQBハウスと同様に吸引掃除機を取り入れている所もありますが、それらはQBハウスの成功を受けて後追い的に導入したものと考えられます。
QBハウスは創業時から「シャンプーをしない代わりに髪の毛を吸い上げる」という新発想を打ち出し、このエアウォッシャー方式を業界に先駆けて開発・定着させました。
当初は2席で1台の共有ホースにする試行もあったものの、時間効率を優先して各席設置に踏み切るなど工夫と改良を重ねてきた歴史があります。
現在では他社も類似の機器を使うとはいえ、QBハウスほど全店一貫して吸引クリーナーを標準装備し、システム家具に一体化させて運用しているチェーンは多くありません。
また、紫外線消毒器まで各席に用意する徹底ぶりや、エアウォッシャーのホースやノズル形状の洗練(頭皮への当てやすさ、可動域の広さ等)、騒音低減など細かな改良も第五世代のシステムユニットに至るまで繰り返されています。
これらはQBハウスが「10分カット」の実現と清潔さの両立に先頭を切って取り組んできた成果と言えるでしょう。
他のチェーンと比べたQBハウス方式のメリットとしては、「髪の毛をしっかり吸引するので自宅に戻ってから洗髪する必要性が低い」「常に一定水準の清掃クオリティが期待できる」という点で優位性があると分析できます。
逆に言えば、他店でシャンプー無しカットを受けた場合には自宅での洗髪が前提だったり、細かい毛が残ってしまうリスクが高いため、衛生意識の高い顧客ほどQBハウスを選ぶ傾向があるとも考えられます。
清掃機器が故障した場合の対応フロー
機器の頑丈性とメンテナンス体制
QBハウスでは多数の店舗でエアウォッシャーを日常的に使用しているため、機器の信頼性確保とメンテナンスが重要な課題となります。
同社は「精度良く、頑丈で、故障しない機械」を追求する経営理念のもとで設備を開発・改良しており、システムユニットやエアウォッシャーについても耐久性の高い設計がなされています。
実際、現在使用されているエアウォッシャーは歴代の改良を経て信頼性が向上しており、フィルターの詰まりにくさやモーターの耐久寿命なども考慮して作られています。
また、全国の店舗網を支えるために定期的な機器点検や部品交換が計画的に行われており、本部の設備保守チームが各店を巡回して清掃機器の状態チェックや予防保全を実施しています。
日々の簡易なメンテナンス(フィルター掃除やノズル洗浄)はスタッフが行い、異常の兆候があれば早期に報告・対応する体制を整えることで、大きな故障の発生を未然に防いでいます。
故障発生時の現場での対応
万一、エアウォッシャーが故障・不調となった場合でも、QBハウスは可能な限りサービス提供を継続できるよう現場対応マニュアルを用意しています。
例えば2席以上ある店舗で一台の清掃機器が動かなくなった際には、スタッフは速やかに隣席のエアウォッシャーを代替使用するか、動作する他の席へお客様を案内し、カット後にそちらで吸引処理を行うなど臨機応変な対応を取ります。
また、予備の携帯用ハンディ掃除機や使い捨ての粘着クリーナーを店舗に備えておき、エアウォッシャーが使えない状況でも手作業で可能な限り毛くずを除去できるようにしています。
実際、他店ではブラシとドライヤーで代用していることからも、最悪の場合はQBハウスでも同様にブラシで払い落とし→エアブローといった基本的な清掃手段に立ち返って対応することになります。
ただし、そうした手動対応のみではQBハウスの通常サービス水準を満たせないため、お客様には状況を説明し了承を得る、あるいは希望者には後日無料で毛くず除去のみ対応するといったフォローに努めます。
スタッフは研修において機器トラブル時の手順も学んでおり、突然の故障でも慌てず適切に対処できるようになっています。
機器復旧までのサポート体制
エアウォッシャー等清掃機器の故障が発生した場合、店舗スタッフから本部へ連絡が行き、迅速に専門の技術者が派遣される仕組みになっています。
可能な限り当日中または翌営業日までに修理対応を行うことで、店舗のダウンタイムを最小限に抑える努力がされています。
修理が完了するまでは前述の手動対応で営業を継続しつつ、お客様への影響を軽減する対策(例えば故障告知の張り紙や、切り終わった後に使い捨てのおしぼりを渡してセルフで拭いてもらう等)も講じられます。
QBハウスは回転率重視のビジネスモデルであるため、券売機などと同様に機器故障時のリスク管理を徹底しています。
実際に、券売機については「1台故障しても営業継続できるよう1店舗に2台設置する」措置が取られているほどで、清掃機器についても複数席展開でリスク分散する店舗設計となっています。
単一席しかない店舗やスペースでは、仮にエアウォッシャーが完全に使用不能となった場合、一時的に「10分身だしなみサービス」の提供を停止せざるを得ないことも想定されますが、そのようなケースは極力起きないよう設備の信頼性向上と素早い復旧対応が図られています。
総じて、「壊れにくく、壊れてもサービスを止めない」という方針のもと、QBハウスは清掃機器の故障リスクに備えた体制を整備しているといえます。