女性専用のQBハウスは存在するのか?
結論から言うと、日本国内において「女性専用(女性客のみ利用可能)のQBハウス」は存在しないようです。
QBハウス公式サイトや店舗情報を確認しましたが、特定の店舗を女性限定としている例は見当たりません。
また、報道などでも女性専用店舗の開設に関する公式発表は確認できませんでした。
もっとも、QBハウスを展開するキュービーネット社は女性客向けの新業態ブランドを立ち上げた経緯があります。
もともとQBハウスは「忙しいビジネスマン」を主なターゲットとして1996年に創業し、当初の利用客の9割以上は30〜50代の男性でした。
そこで女性客の取り込みを図るため、Quatre Beaute(キャトルボーテ)というブランドを立ち上げ、通常のQBハウスが10分1000円(当時)だったのに対し20分2000円のサービスを表参道・新宿・有楽町に展開しました。
この試みは男性客にも意外と支持され、後にブランド名を「FaSS(ファス)」と変えて2011年に中目黒に1号店をオープンしています。
FaSSはQBハウスよりも店舗面積を約1.5倍広くとり、観葉植物やゆったりした待合スペースを設けるなど女性が入りやすい居心地の良い空間を実現したとされています。
その結果、FaSS開業当初の男女比は女性7:男性3でしたが、現在では男女ほぼ半々になっており 、当初女性向けに作られた店舗にも多くの男性客が訪れている状況です。
FaSSでは、QBハウスより広いスペースやカフェのようなインテリアを採用し、女性客が一人でも入りやすい雰囲気づくりがされています。
現在は東京・神奈川に十数店舗展開され、料金はカット+スタイリングで20分2400円前後とQBハウス(10分1350円)より高めですが、その分丁寧なカウンセリングや予約システムなど付加サービスも提供されています。
以上のように、「女性専用」のQBハウスは無いものの、女性が利用しやすい業態としての工夫やブランド展開はなされてきたと言えます。
女性専用店舗が設けられていない理由
では、なぜQBハウスには女性専用店舗が存在しないのでしょうか。
考えられる理由を、企業の方針や業態上の観点から考察します。
- 誰でも利用できるコンセプトとブランド戦略: QBハウスは「10分の身だしなみ」を掲げたヘアカット専門店であり、「老若男女誰でもお手軽に利用できる」ことを重視しています。
実際、近年QBハウスは女性が多く行き交うエリアや女性でも行きやすい立地への出店を意識的に増やしており、その戦略によって女性客比率の向上に成功しました。
女性専用に店舗を分けるのではなく、既存店舗のまま女性客にも来てもらう工夫(立地や店舗雰囲気の改善)で対応した結果、現在ではQBハウス利用客の2割以上が女性となっています。
言い換えれば、「誰でも入りやすい店」を目指したことで女性専用店を設ける必要性が薄れたと考えられます。
- 潜在需要とサービスのマッチ: 背景には、女性客の側にも「時間をかけず安く髪を整えたい」という潜在ニーズが存在していたことがあります。
従来は「女性は美容院でじっくり施術を受けるもの」という風潮がありましたが、近年の所得環境の変化やライフスタイルの多様化により、「毎月高額な美容院通いは負担」「忙しいので時短で済ませたい」という女性が増えてきました。
QBハウスのような安価・短時間のカット専門店は、そうしたニーズに応える形で女性客にも受け入れられつつあります。
女性専用店を新たに設けなくても、現行のサービス内容自体が女性客にもマッチしていたことも一因でしょう。
- 経営効率と店舗展開: QBハウスは全国に約570店(海外含め世界約600店)という大規模チェーン展開をしています。
この中で女性客だけに限定した店舗を作ると、対象顧客が狭まり店舗ごとの集客効率が下がる可能性があります。
実際、女性向けに始めたFaSSでさえ男女半々の利用状況になっていることからも、性別で客層を限定してしまうことの機会損失がうかがえます。
男女問わず受け入れた方がトータルの顧客数を伸ばせるため、あえて女性のみの店舗を作らなかったと考えられます。
- 人員配置・コスト面の問題: 仮に女性専用QBハウスを作るとすれば、女性スタッフだけを配置する、人件費や店舗設備を女性向けに特化するなど追加コストが発生します。
QBハウスは低価格維持のために効率を追求するビジネスモデルですので、専用店を設けてオペレーションを分けることはコスト高や非効率につながりかねません。
その代わりに前述のような立地戦略で男女共用でも女性が利用しやすい店作りをする方が合理的だったと考えられます。
以上より、QBハウスは「女性専用」という形を取らずとも女性客を取り込めると判断し、実際に既存店への女性客増加という成果を上げているため、現時点で女性専用店舗を敢えて設けていないものと思われます。
女性も安心して利用できる理由
女性専用店舗はありませんが、その分女性でも安心してQBハウスを利用できる環境や理由が整っているとの声が多く見られます。
ここでは、日本人女性の口コミや体験談をもとに、「女性でもQBハウスを安心して利用できる理由」を整理します。
- 性別に関係なく利用できる雰囲気: かつては「QBハウス=おじさん向け」というイメージもありましたが、現在では女性客も珍しくありません。
実際利用した女性からは「男性客が多い中で利用したけど、特に違和感を感じることなくカットしてもらえた」という声が目立ち、他の来店客やスタッフから珍しがられることもなかったと報告されています。
店側も公式に「QBハウスって女性も行っていいの?」と不安に思う方へ向けて動画等で発信を行っており、「ご安心いただくため」の解説コンテンツを公開しています。
このように、女性だからといって居心地の悪さを感じる必要はない環境が整っています。
- 予約不要・短時間・低料金で気軽に利用できる: QBハウス最大の魅力である「手軽さ」と「リーズナブルな料金」は、忙しい女性にとって大きな安心材料です。
予約なしでふらっと立ち寄り、約10分でカット完了という手軽さは「時間をかけられない時に本当に助かる」という声が多く、料金も美容院の半額以下で毎回高額なお金をかけなくて済む点が支持されています。
待ち時間も店頭のランプやネットで把握でき、買い物の合間などに思い立ったらすぐ行ける気軽さがあるため、「スケジュール調整せず行けるのが良い」と女性利用者も評価しています。
- 施術の質に対する信頼感: 「安い・早い」と言ってもカットの仕上がりが雑ということはなく、満足できたという口コミが多く見られます。
実際に「カット技術に疑問を持っていたけど、担当者がベテランで短時間にもかかわらず満足のいく仕上がりだった」という女性の声もあり 、10分程度でもプロの技術で十分なクオリティが得られるようです。
また施術前後の確認もしっかりしており、大手のQBハウスでは後ろと横をカットした後に必ず『前髪はどうしますか?』と聞いてくれたとの利用者談もあります。
過度に凝ったスタイルでなければ女性のロングヘアの毛先揃え程度は問題なく対応してもらえるため、「仕上がりへの不安が解消された」「数日経ってもギザギザにならず満足」という声も上がっています。
- 煩わしい会話や営業がなくリラックスできる: QBハウスではカット以外のサービスを省略している分、必要以上の世間話や営業トークがほとんどありません。
美容院でありがちな「お仕事は何をされているんですか?」といった会話が無いことや、高額なトリートメントを勧められない点について、「むしろその方が気楽で良い」と感じる女性もいます。
また、会計時に次回予約の勧誘クーポンなどを渡されることもなく、シンプルに用件だけ済ませられるのでストレスフリーだという意見もありました。
人見知りで美容院が苦手な人にとって、QBハウスのドライな接客は却って安心感につながっているようです。
- 女性スタッフの在籍と接客の安心感: QBハウスのスタッフ(スタイリスト)は男女問わず在籍しており、店舗によっては女性美容師が担当してくれる場合もあります。
実際に「美容師さんは男性ばかりではなく女性もおり、自分の担当が偶然女性でラッキーだった」との声もありました。
スタッフは全員国家資格(理容師または美容師)を持ったプロですので、性別にかかわらず丁寧に対応してくれます。
女性客に対してもカウンセリングで希望をしっかり聞き取るよう教育されており、「女性客だからといって雑に扱われることはなかった」との口コミが寄せられています。
- 店舗環境の清潔さ・衛生対策: 駅ナカや商業施設内という立地上、店内はオープンで明るく清潔感があります。
各カットブースの鏡は扉付き収納になっており、上着や荷物を自分でしまえる安心設計になっています。
さらに、新型コロナ以降は隣席との間にビニールシートを設置するなど感染症対策も徹底されており、「隣の席とはビニールで仕切られていて安心」と衛生面の配慮を評価する声もありました。
使い捨てのシートや器具の消毒など基本的な衛生管理もしっかりしているため、女性でもクリーンな環境で安心して過ごせるとのことです。
以上のように、多くの女性利用者の口コミからは「QBハウスは女性でも安心して利用できる」理由が明確に浮かび上がってきます。
価格・時間面のメリットはもちろん、女性客として不安に感じがちな点(周囲の目、仕上がり、接客対応、店内環境)について、実際に利用した人たちがポジティブな評価や体験談を多数寄せていることがわかりました。
女性専用店舗こそ存在しないものの、だからこそ男女区別なく誰もが快適に利用できるサービスを目指しているQBハウスの企業姿勢が、この安心感につながっていると言えるでしょう。